皆さん、アロマセラピーという言葉を知っていますか?液体が入った小瓶に乾麺パスタみたいな細い棒が数本入っているのをよくカフェや美容室に目にしますよね。
自然由来の芳醇な良い匂いが空間を包み込み、癒しをもたらす『あれ』もアロマの一種です。日本では主に女性を中心に人気を博していますよね。いい匂いは好きだけど、具体的な効果や謳い文句はプラシーボ効果(偽薬効果とも呼ばれていて、思い込みで身体的・精神的に影響が現れる効果のこと)なんじゃないの?と訝しんでいる人も少なくないかもしれません。
しかし、現在はアロマに関する研究や実験による調査が進められていて、科学的に『良い匂い』がリラックスであったり、集中力や記憶力向上から企業の生産効率UPにまで繋がることがわかっています。
今回は、アロマの効能とメリット、そして導入方法について詳しくお伝えしたいと思います。特にアロマが単なるプラシーボ効果だと疑っている人必見です!
Contents
アロマ(香り・匂い)の効果・効能・メリット
日本ではアロマというと雑貨屋で購入して半分インテリア、半分匂いを楽しむという用途で使用するイメージがありがちですが、海外、特にフランスでは全く扱いが違います。
アロマテラピーという言葉を生み出した本場、フランスでは治癒資格を持つ医師が処方箋を書き、薬剤師が調剤するなど、アロマは薬局で買うものというのが共通認識です。
また精油の成分を分析・研究されているため、臨床データが豊富にあります。つまりフランスでは、アロマは科学的に効能が認められており、医療の側面を持つということになりますよね。
それでは、アロマオイルの成分は一体何なのでしょうか。
アロマオイルは多種多様な自然界に存在する芳香物質が組み合わさって存在する物質で、それぞれの物質の成分やその量に応じて匂いや効能が決定されます。アロマオイルは「精油」という表現がされる時がありますが、この時の「油」というのは、端的に「油」というわけではなく、揮発性を伴った芳香物質のことを指しています。また、アロマオイルの成分は、植物自身が厳しい自然界で生存していくために生み出した物質です。
①害虫や、鳥を遠ざけるため。
②逆に他の生物を匂いでおびき寄せるため。
③種子を遠くに運ばせるため。
といった、植物の子孫繁栄のために必要不可欠な働きを請け負っており、人間にもその植物のたくましい力が癒しの効果をもたらし、生活や仕事に役立つのです。
それでは早速、天然の植物から抽出した成分を配合して作られた『アロマ』の、精神や体への癒しの効果について科学的にお教えします!
アロマのリラックス・鎮静効果
まず、驚くべき事実を述べます。アロマの香りを私たちが嗅いだ時、その香りの成分自体が肺に吸収されその奥にも伝わっていくと思いがちですが、それは主な効果ではありません。
香り成分は肺に入った途端、呼気として再び空気中に排出されてしまいます。実は、アロマの香りが直接人体に影響を及ぼすのではなく、電気信号と変換されて大脳辺縁系に嗅神経を通じて伝わり影響を及ぼすのです。皆さん驚いたのではないでしょうか。
アロマは電気信号となり、直接脳に干渉するのです。また大脳辺縁系は『良い匂いだ』と人間の情動を促すだけでなく、自律神経やホルモン、免疫の調節を司っています。
つまり、アロマの香りで脳をリラックスさせてストレスを緩和することによって幸せな気分になるばかりか、免疫は向上して病気になりにくくなります。香りはダイレクトに脳に作用するため効果が非常に高く、うつ病や認知症の治療や予防にも効果的であるという研究結果も存在するほどです。
では、良い香りを嗅ぐと心が鎮まり幸せな気分になるのはどうしてでしょうか。それに迫るには人間の五感について考えてみると納得する答えが生まれます。
五感(視覚・味覚・嗅覚・聴覚・触覚)の内で嗅覚だけが、一時的で急激な感情の動きである『情動』に働きかけることができると言われています。
つまり、匂いというのは、人間の感情を一時的に激しく動かすことができ、うまくコントロールすることができれば、怒りや悲しみ、何かをする意欲が湧かないといった負の感情をプラスの方向に急激に持っていくことができるのです。
さて、それではアロマの香りを嗅ぐことによってリラックスするメカニズムを解説していきます。
先ほど紹介したように、アロマの良い匂いは電気信号に変換されて『大脳辺縁系』や『視床下部』に作用するのですが、大脳辺縁系を構成する『扁桃体』という部位が『快・不快』などの感情を司っており、そこに直接刺激が伝わることで、安らぎや心地よさが生み出されるのです。
また、視床下部に香りの電気信号が伝わると、自律神経やホルモンの関係を安定させ、体の緊張を解きほぐすことで鎮静効果を生み出し、心身共にリラックスできるのです。
アロマを就寝時に活用する人も多く、睡眠とアロマの間には驚くべき実験結果があります。
睡眠に入るまで長い時間がかかってしまうことに悩みを持つ男女30名を調査対象に就寝前にアロマディフューザーを利用してもらったところ『睡眠状態に移行するのにかかった平均時間』に変化が見られたのです。
アロマディフューザーを利用しなかった場合は26分もかかったのに対し、アロマディフューザーの利用時は19分と、なんと7分もの短縮が見られました。
また23人中16人、つまり7割の被験者が睡眠までの時間や起床までの時間が短縮するという驚きの結果が出ています。さらに26人中19人、7割強の被験者が『以前より眠れるようになった』と回答していることから、アロマのリラックス効果は明らかであることはお分り頂けたでしょうか。
アロマの集中効果
アロマの香りは、人の心身をリラックスさせる効果に目が行きがちですが、集中力向上を促すという効果もあります。そしてその効果は、リラックスさせる効果と同様に科学的に立証されています。それでは、アロマが人の集中力を高めるメカニズムについて解説していきます。
アロマが持つリラックス効果は、大脳辺縁系と視床下部に強く影響を及ぼすと先程お伝えしましたが集中効果を生み出すのは、視床下部です。視床下部に前頭眼窩部から近く刺激が促されることで脳下垂体をコントロールして鎮静・集中効果を生み出します。
その研究成果はすでに立証されており、日本アロマ環境協会の行った調査結果によると、記憶力についての試験で、アロマの香りが充満している部屋で問題を解いた子供の方が、アロマの香りがない部屋で解いた子供達よりも高いスコアを出したのです。また、それは計算問題についても同じで、アロマを用いた方が結果は良好でした。
また最近では『スポーツアロマ』という、アロマをスポーツに活用することが増えています。
心身の疲労の回復やホルモンのバランスを整えたり、筋肉痛の緩和、怪我の予防にも効果は大きいですが、競技能力を向上させるためにも利用されています。競技大会の当日や前日に持久力や筋力を高めて集中したい時にもアロマが用いられています。
このことから、アロマには集中力を高める効果があると科学的に証明されており、実際に用いられていると言えます。
アロマ(香り・匂い)が利用される主な目的と活用方法
香り・匂いによる集客マーケティング(ブランディング)
以上の通り、アロマにはリラックス効果や集中力を高める効果が科学的に立証されており、しかも電気信号に変換されてダイレクトに作用するために効果が大きいということを解説してきました。では、アロマはどのような場所で使うのが効果的なのでしょうか。
もちろん、勉強するときや、就寝前にアロマを利用するのは効果的です。就寝前のリラックスでその日に蓄積した心身の緊張解きほぐしたり、勉強の時に集中力と記憶力を高めて臨むというのも大いに効果を見込めるでしょう。
しかし今回最も推させていただきたいのは、『ビジネスや仕事の場』です。どうしてかと言いますと、デスクワークを行うオフィスなどは、社員が一生懸命に集中して作業している場こそ、汗の匂いなどの嫌な匂いが充満しがちですよね。タバコの匂いが充満している職場も無きにしも非ずなはずです。
嫌な匂いというのは、やはり電気信号に変換されてダイレクトに脳に作用するために、確実に悪影響が出て無意識のうちに集中力が低下し、生産性が落ちるばかりか、社員に悪い職場であるというイメージを無意識のうちにでも与えてしまいかねません。心身が優れないために、人間関係も悪化してマイナスの効果がスパイラルとなってしまうでしょう。
そこで嫌な匂いをアロマで消臭、逆に自然由来の良い匂いをその空間に充満させることで、清潔感が増して社員全員が快適に健康的に仕事ができることで生産性も自ずと向上するはずです。
また商談が持ち込まれるビジネスの場でも、アロマの良い香りを充満させて気持ちのいい環境を演出しておくことで、通常よりもプラスの効果を期待できます。
商談というのは、自然と長い時間がかかってしまうものです。人間が集中できる時間は一度に1時間と言われており、せっかく準備してきた自分たちの主張も相手方に右から左へ流されていることがあったら悔しくありませんか。
自分の考えてきた主張を一言一句相手に伝えるためにも、相手を集中させることは重要です。リラックスを促して心身ともに緊張を解きほぐしてあげることで、アロマによって、いい匂いが無いビジネスの場よりも商談がいい方向に進むに間違いありません。
そして、アロマがダイレクトに影響を与える大脳辺縁系には『海馬』という部分があり、聞いたことがある人が多いかもしれませんが、『海馬』は記憶を司っています。つまり、香りは記憶に密接に関わっているため、脳は香りを嗅ぐだけで成功した時の記憶を想起させることができるため、
アロマを重要な会議や商談の場でのルーティンとして役立てる方も増えています。
この他にも、アロマをビジネスに用いるメリットが存在します。それは『ブランディング』です。働き方改革が現在特に目指されている中、職場環境を整えて社員の心身の状態を良好に保とうとする『健康経営』の姿勢は、評価されるに違いありません。
商談のためにオフィスの会議室を利用する際には、『いい匂いがする』という情動を相手方に起こすことで無意識的にも、良いイメージを植え付けることが可能なのです。
ビジネスシーンへのアロマの導入方法
ビジネスへのアロマの導入がたくさんのメリットを持つことは理解していただけたでしょうか。
消臭効果に始まり、集中力向上効果・リラックス効果・ブランディング効果・ルーティン化へのきっかけにするといった科学的に解明・立証されているアロマ。では、どのようにして会社に導入していけば良いのでしょうか。
現在、業務用のアロマディフューザーをレンタルとして貸し出しを行なっている企業が少なくありません。
オフィスなどの広い空間を容易にアロマで満たせるディフューザーをレンタルするという方法もあります。視覚的なブランディングももちろん効果的ですが、空間を覆うような見せ方はコストが増大しがちで、変更の融通も効きにくいです。
現在アロマディフューザーをレンタルしている会社の多くは、たくさんの匂いのオイルを揃えており、シーズンごとのイメージ戦略のために香りを変更するなどの融通が効きやすいです。美容室や飲食店では特に効果的なのではないでしょうか。
アロマディフューザーをレンタルしている企業の中には、無料のお試し設置を提案している企業や、その設置環境や予算について詳しく相談ができる企業があります。興味がある方は、気軽に利用してみるといいかもしれませんね。
また、スティックタイプのリードディフューザーをオフィスの机一つにつき、一つ提供する方法もあります。スティックタイプのリードディフューザーとは、冒頭にも述べましたが、液体が入った小瓶に細い棒が数本入っているデザインが優れているものが多いアロマです。このタイプは香りが充満する空間が狭いため、各々が一番お気に入りの香りを選択できますね。
スプレータイプのアロマを配布するのも非常に効果的です。紙の資料などに数回吹き付けるだけで、香りが揮発してきてアロマの香りを嗅ぐことができます。これもスティックタイプのリードアロマディフューザーと同じく、匂いが充満する空間は小さく、いくつかのスプレーを持つことができるためにその日の気分に合わせて香りを変えることが可能です。
ここまで三つほど、ビジネスシーンへのアロマの導入方法を紹介しましたが一番大切なのは、好きな香りをアロマに選ぶということです。
アロマにはたくさんの種類があり、『〜に効果があります』といった紹介を鵜呑みにしてあまり好みではない匂いを選ぶことは全く良い効果を期待できません。脳が、嗅いだ匂いを『快』と認識してポジティブな作用を起こすからこそ、リラックス効果や集中効果を生み出すことができます。
オフィスに一台アロマディフューザーを設置するときも、全員が気に入った匂いを選ぶことが重要です。アロマの匂いが苦手だという人が少しでもいましたら、スプレータイプに変えたり、机の上にスティックタイプのリードディフューザーをおくことに切り替えて、一人の小スペースでのアロマ効果を促しましょう。
何よりも、いい匂いを楽しむことが重要です。
アロマでビジネス成功!?
今回、アロマの様々な効能と活用方法について紹介してきました。五感に訴えて良い効果があると謳うものに対して、気持ちの持ちようで実際の効果はないといったプラシーボ効果だと主張する人が意外に多いですが、ここまで読んだ方はご承知の通り、アロマの効能は科学的に証明されています。
これをうまくビジネスの場に用いることができれば、良い効果がたくさん生まれるのは自明の理でしょう。
アロマを実際に活用している企業は増えてきています。ぜひ、お気に入りの匂いのアロマを見つけて生活や仕事に効果的に取り入れることで、アロマ本来の匂いを楽しむとともに、アロマが持つたくさんの恩恵を受けましょう!